読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

角田光代著「くまちゃん」

この傑作短編集の中のひとつ「アイドル」で、こんな文章があります。

『それじゃあだめなんだ。英之は心のなかで言った。彼女に。彼女のかたちをした自分自身に。それじゃあ、ものごとは悪化するだけだ。ほしいものがあるならば、手に入れる方法をさがさなきゃだめなんだ。ほしいくれと、それだけ言うんじゃだめなんだ、ぜんぶ人のせいにしちゃだめなんだ、現実と想像の区別をつけなきゃだめなんだ。自分だと思っている像からマイナス百くらいがようやっと自分の姿なんだ。』

って文章があります。

この人の、っていうか女流の作家さんの言語センスってすげえ。

カフェ・ド・クリエでこれ読んでて震えました。ミルクティーの入ったカップを持った手もぷるぷるしてたかもしれない。

このシーンは別れた女性に妊娠したと迫られるのですが、その彼女に対して主人公が内心思うところ。

この人の心情描写はとてつもなく抉ってくるぜ…。

 

終わり